インジェクション成型の容器

生活に欠かせない容器ですが、近年は樹脂成型品がガラスに代わり主力となっています。
樹脂成型はエア圧を利用して金型に密着させることで成型するブロー成型、金型に溶かした樹脂を高圧力で流し込むインジェクション成型が主な成型方法となります。

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↑ブロー成型のボトル(TOBシリーズ)

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↑インジェクション成型のクリームジャー(CS/LNクリームジャー)

今回はインジェクション成型のお話です。主にクリーム容器やCAP、コンパクトなど様々な形状を製作することができます。ちなみにブロー成形は主にボトル容器で使用される成型方法です。

容器のお問い合わせをいただく際にこれらの成型方法を説明しても、どうしても上記のようなテクニカルな技術論の説明になってしまいがちで、話が平行線になってしまうことがあります。

インターネットで調べるとインジェクション成型の方法は色々記載されているので今回構造的な説明は省いた上で特徴を以下に列記しました。

インジェクションの特徴は
1:金型投資費用が非常に高価。
例えばクリーム容器を量産で使用するには最低でも年間数十万個は販売しなければ採算ベースに乗せるのは難しいと考えます。金型は使用する鋼材の強度ランクと彫り込みの難度、金型パーツ数によってもコストは大幅に変わります。

2:一面の金型で多数個生産することができ、量産に向いている。
1個取りの金型と8個取りの金型では生産性は単純に8倍の差となりランニングコストに大きな差が出ます。しかし取り数を増やすと金型代(初期コスト)がかかります。取り数と使用する成型機の大きさと将来の販売見込み(単価)を予測し決断します。

3:多数個取りで量産に向いているが、多数個ほど成型時の樹脂流動が複雑化するため、成型の良し悪しに影響を与える可能性がある。
着色した場合(特にパール顔料使用時)にムラが出やすくなったり、ばらつきが出やすい傾向にあります。

4:寸法精度が高い。
容器に使用される樹脂は主にポリプロピレンやPETが多く、樹脂の特性上、寸法のバラツキは必ず出るため寸法公差とよばれる許容範囲を設定します。見た目ではほぼ分かりませんが、この寸法公差のバラツキをできる限り少なくする為には容器の肉厚バランスや形状、樹脂の選定によって大きく変わります。外観形状に対しユーザー様との取り決めを行いますが、両者での判断基準の設定が難しいところです。

寸法公差

一概に違いは言えませんが、容器の成型方法によって機能上の制限や形状の限度が出たり、製造ロット、指定のカラー、印刷などにおいても自由度がかわります。

多くのお客様と打ち合わせをすると、売れそうで、おしゃれな、コストメリットがある使いやすい容器を使用したいという要望をいただきます。しかしながら容器の特性と成形方法によっては妥協点を見出さないと商品化できない場合もあります。
容器屋さんのプロとしてできるだけリスクとメリットを分かりやすくサポートする努力することが前提ですが、ユーザー様も成型方法を理解することが容器の選定の早道かもしれません。